ママちゃんは最強漬け。

子どもの発達特性や不登校などの課題に寄り添うママの備忘録

にせドMなしくじり先生の愛 - 「数字」が読めると年収がアップするって本当ですか

 今回は表題の本に関するレビューです、二児の母です。

「数字」が読めると年収がアップするって本当ですか? 決算書オンチのための「会社の数字」が肌感覚でわかる本

本業(会社員)のほかに画業をやっていきたい思いが、最近固まりました。

なので、自腹切り切り素材を買い込んで製作をしたり、アートの値段を見て歩いているうちに、アートの値段の付け方について調べが進んでいたところ。

作品の販売にあたっては、製作コストや売り方 - 例えばネット販売なのか、対面販売として関わる業者さんがいるのか(画商さん、作品を展示してくれるギャラリーさんなど)、などなど・・・けっこう様々な関係性から生じる金銭のことを、俯瞰的に理解したうえで売りたいものの価格設定をすべきだな、と結論に至っていた折だったのでした。

 大なり小なりものづくりをする人は、こういう考え方って当たり前なのかもしれません。

著者の前作 "「数字」が読めると本当に儲かるんですか?" と今回の第二作は、会計のごく基本的な用語をもとに、この考え方について「あってるよ」と背中を押してくれるような本です。

 

2作に共通した主張をざっくり言ってしまえば

"稼いで手元に来たお金がそのまま「儲け」、つまり自由に使えるお金になるわけじゃありません"

です。

なので、こんな風に展開されてきます。

◆かかったコストのことを差し引いてから、儲けを算出しよう

◆売上額=儲かった額、じゃないから手元に来たお金をパーッと使ったら(あとで納税分などの差し引きもあるから)死ぬよ

 

表紙には「会計」「決算書」といった言葉もあるしいくつか会計用語も出てきますが、「詳しいお金の計算話より前に、稼ぎに対してこういう考えかたを持っておくといいよ!」と、我々庶民の金銭感覚ベースを整えてくれるような読み物です。

アラウンド新卒にもフィットすることでしょう。そう遠くない未来に自分の子どもが就職活動をしそうなので、その前に読ませても良いなと思いました。

 

本としてのカルチャーショック

大概の本や映画は、主人公がひとつの決め台詞によって、かっこよく勝ちを取ったり、問題を解決するひらめきを暗示するものです。

が、この本の決め台詞「そうか!これか!」は一見とてもキラキラしていますが、主人公が思いっきり勘違いして失敗するフラグとして存在しています。ひでぇー!笑

 また、今作は「下部注記欄でツッコミが同時進行システム」が発動。自分はテーマが共通している前作を読んでおいたこともありますが、読者はほぼ会話で成立しているストーリーを追いつつ、裏の主役たち(アドバイザー)が言わんとすることをぶれずに頭に入れ続けることができます。

会話部分をまとめて出しておいてあとから解説する、という仕組みの本が常套ですが、これは画期的だなと思いました。

 

作者はドMなのかどうか問題

そして前作から今作前半までの部分で、わたしが共通して持った印象は・・・最も端的に言ってしまいますが「ドMなの?」です。

 (※少々のネタバレ)今作冒頭いきなり主人公の前に颯爽とタイムマシーン・カーが現れるのですが、それが、前作の主人公がまちがった経営で調子こいてたときに乗ってた車種(失敗経営の象徴)です。こっ、これはっ、と思いました。絶対乗ってはアカンやつでした。

前作では、コスト額 vs. 売上額の明確な事例を出すために、事業主としては若すぎて痛すぎる失敗談が赤裸々なほどにかみ砕いて語られることがメインです。自分の傷口(あるいは股間)を両手でグイグイ広げて見せてくる感に「勇者って、もしかしたら変態のことなのかもしれない」という想いさえ抱きました。

 しかし、「本の形としてまとめてくる」以上、世間を啓蒙する使命感を非常に持っているんだなぁということを、今作は特に強く感じます。

前半のややゆるテキストを装ったストーリー仕立てから、いきなり真顔になる会計解説ページ。それに続く極めて濃厚な「あとがき」。ふつう「あとがき」ってちょっとした謝辞ぐらいでサラッとしてるはずなんですけど、今作はここを読めば読書感想文が書けます。

このように、失敗談の先の世界がよくひらけていて、「俺みたいなやり方をするなよ!」や「お金に対して、こう考えてみるといいんだよ」っていう提示がよくよく書き込まれている。 

ロジックできちんと説明する=理解が深まる=愛。

愛=理解!!!!

 ドMは、痛い行為だろうが何だろうが、つまるところ自分のことしか考えていません。「あ"あ"あ"ぁ!激安販売してたら売上額はあがったのに貧乏になっちゃったよぉおおお!」という嘆きから最終的にはこの世の働く人たちへのエール(愛)に繋がった本作、ドMではありませんでした。残念です。

我々が磨き続けるべきもの

貯蓄をたっぷり持っていて誰にも騙されない環境要因がある人だとかプロ専業主婦(夫)はさておき、我々はどこかで必ず、お金を稼ぐために働きます。

先々や周囲についての考えがなく、目の前の目標だけを見て突進するような、短絡的かつ近視的な「がんばり」は、ひたすら自分が摩耗するだけで報われづらかったりして、 

 

「自分が本当に望んでいる人生や未来とは、どんなものなのか」 

 

けっきょくこの部分をよく磨きながら前に進んでいくしかないんだな、と。

で、おそらく悪いほうに悪いほうに自分を磨いていくのって(それはそれで難しいし)なかなかそういうお手本もねむたい眼こすりながら深夜徘徊でもしないと見当たらないだろうし、ストレスのない結果に結びつきづらいことでしょう。なので・・・

給料アップには、結果 と 周囲からの感謝 がセットになっていることが大事なのよ!

なにを本業とする場合であっても磨き続けておけば間違いないもの、それは

「人格」

に行きつくのかなぁと思います。(あと歯。)

難しくないところからでもそれは可能で、例えば天狗にならないとか、小さな約束でもちゃんと守るとか。歯磨き以上にローコストです。

それは会社から信頼される(給与アップに繋がる)という結果ももたらすし、繰り返せば、自分のいろいろな幸せに繋がる大きめの道でもあるから。

 

なんのトラブルもない平坦な道を歩んできたら、こういうところに深くうなずくことはなかったのかもしれない。 

わたし自身もふつうじゃ満足できなかったし、 お金のない子どもだったし、人間関係で失敗をするととてもつらいということを経験した。そんなつらい思いは自分自身に対してもう繰り返さないぞ、という覚悟を強くもつことで、ひいては周囲のためになるんなら、素晴らしいことじゃないかと思うのです。

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書籍リンク:

「数字」が読めると年収がアップするって本当ですか? 決算書オンチのための「会社の数字」が肌感覚でわかる本

 ちなみに前作書籍はこちら:

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

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今回のお題: 「どうしても言いたい!」