発達障害・定型発達の子どもたちを育てている二児の母です。
様々なケアについて学ぶ中で、「引きこもり」から考える親子関係のありかたについて、素敵な本がみつかりました。この記事では、その本について紹介します。
山根俊恵『親も子も楽になる ひきこもり "心の距離" を縮めるコミュニケーションの方法 改訂版』(中央法規出版)
不登校や引きこもりを解消する本というと、
「学校や社会へ戻す方法」や「支援機関の紹介」が中心のものを思い浮かべるかもしれません。
でも、この本は違います。
テーマは一貫して、
「家族のコミュニケーションをあたたかいものに変えること」
それが、本人が再び社会へ向かう土台になる、と伝えている本です。
伴走支援の積み重ねから生まれた一冊
著者は長年、引きこもり当事者と家族の伴走支援を続けてきた方。
机上の理論やきれいごとではなく、
「こういう接し方で失敗していた」→「こう変えたら本人が動き始めた」
そんな実例を軸として、どんな接し方が望ましいのかが具体的に書かれています。
多数の書籍からのまとめを経て
読んでいてうなずいたのは、
「親子が信頼関係を築くことが、まず重要」
という結論がここでも示されていた点でした。
これまでわたしは、発達障害児やその子育てにまつわる書籍をまとめる執筆を行ってきましたが、
山根先生からも
「こちらの希望を押し付けない」
「何気ない雑談を積み重ねる」
そんな「親のあり方」の大切さについて、背中を押してもらえたような気持ちになりました。
印象に残ったこと
本書では、
「引きこもりを解決するのは、家族の日々の関わりである」
という考え方が繰り返し語られます。
- 会話のつもりが「尋問」になっている言い方
- 小言
- 叱咤激励
などなど、親が子どものために「よかれと思って」やりがちな関わりを、一つひとつ見直していきます。
そして目指すのは、いきなりの就職や復学ではなく、家庭の中で安心して会話ができる関係を取り戻すこと。
その先に、「社会へ出る」が見えてくるのです。
この順番がとても腑に落ちました。
ふだんの関わり方のバイブルとして
この本は、不登校や引きこもりがある家庭だけの本ではありません。
普段の親子関係にも、そのまま使える内容だと思います。
ただ、親子関係のねじれが強まりそのような状況が起きている場で、
親が「子への関わり方を変えよう」と実践を続けるには、自分の関わり方を客観的に振り返ることができる場が必要です。
(そのため、山根先生の支援活動では家族会が積極的に活用されています)
AIとの対話はこころの整理には役立ちますが、
人との対話には、それにしかない価値があります。
親同士で話すとき、
思いがけない話の流れからなかなか出せなかった気持ちがようやく出てきたり、
「ああ、私も同じ失敗をしていた」と一緒に笑いがこぼれたり。
そういう化学変化のような時間が、親を少しずつ癒やし、親自身のコミュニケーションを育てていくのではないでしょうか。
最近私は哲学対話や読書会が面白くて、子育ての合間に足を運んでいるのですが、その理由もここにつながっているように思います。
「焼き菓子のような重厚さ」がある本
最近は、「〇分でできる」「寝たままでOK」
そんな本がたくさん並び、目を惹きつけられます。
でも、この本の表紙にはそういう、すぐ手を出したくなるようなパッケージの派手さはありません。
けれど、実践から積み上げられた知恵がぎっしり詰まっています。
私にとっては、じっくりバターが染み込んでいる重厚な焼き菓子のような本でした。
こういうお菓子には、派手な包装紙は似合わないかもしれません。
こんな人におすすめ
- 不登校や引きこもりのお子さんとの関係に悩んでいる方
- 家族で安心して話せる関係をつくりたい方
- 声かけを見直してみたい方
- 自分自身のコミュニケーションを育てたい方
※今週のお題「上半期ベスト◯◯」


