発達障害児(アスペルガー症候群)と定型発達の子たちを育てる、二児の母です。
アスペルガーのほうの子は、中高生になって以降もその年齢なりの不安ごとを抱えるようになりました。
頑張ってもできないことがあり、気持ち的に追い込まれてパニックのように泣く夜があります。
昔はそんな子どものそばでえんえんと話し合い、つまり「完全に寄り添いつつも何もできない」自分がいて、ただただ苦しくて悲しいだけでした。
が、この子の小学校高学年ぐらいのときに
「わたしにも、いくらがんばっても限界があるし、ケアできないこともある」
ことがよくわかった時期があり、そのあたりから「あきらめ」という感情が妙にわたしをスッキリと導いてくれるようになりました。
高校生になったこの子が、先日久しぶりに、年甲斐もなく久々にパニックになってお布団でぎゃあぎゃあ泣いたり暴れていたとき、
それのお蔭でわりとうまく対処できるようになっていました。
子どもが荒れる夜、わたしなりの対応のコツ。
- 子どもから話しかけられたら返事はちゃんとするけど、こっちからはやたらに話しかけない。
- そばにいるけど、ずーっとその子を注視してオロオロしているよりは、他のことをやっているぐらいの「気持ちの距離感」をとる。(読書をしました)
子どもを突き放すわけでもなく、そばにいるけど、
本人の感情を下手にまぜっかえすこともせず、
ひたすら本人のそのままに感情を吐き出させている状態だったと思います。
デトックスみたいな感じかも。
小一時間経ったら、子ども本人がふと
「さっきまで騒いでいたのがばかばかしくなった・・・」
とつぶやいて、スッと眠りにおちていきました。
以前よりも早く収まった感じでした。
ちなみに、わたしが読んでいたのは、たまたまこの子の学校でなにかの課題図書として指定されてうちに来ていたこの本でした。
芥川賞受賞作品です。
すっきりと無駄がない文体で読みやすく、フィクションなのに地に足がついたリアルな現代描写で、主人公はどうなるのかなと素直に読み進められる小説でした。
また、思いがけず、発達障害と思われる(てきめんに不得意なことをカバーしながら都会の社会に溶け込んでいる)主人公を描いた物語でした。
取材をしっかりされているのか、この心理描写もリアルだったので、興味深く読み進められました。
この本のおかげで、
世の中にはいろいろな不得意のかたちがあるなあ、と改めて思ったのでした。。
わたしは発達障害という診断をもらえなかったけど、子どもの頃も今も、同世代の女性たちと比べて、充分にできてなさそうなことはある。
そのことで、悩みすぎたり荒れたりしないだけ。
「じゃあ、こうしようかな」とか「まあいっか」と思考を進められるようになったから、それを伝えることはできるんだけど、実践してもらうことはなかなかに難しい。