本は、わたしの最初の友達でした。
当時の住まいが田舎で娯楽が少なかったこともありますが、
小さなショッピングモールで親がおつかいをしている間に本屋で待つのは、大好きな時間のひとつでした。
絵本を読みまくるのは大人になってからも続いていますが、
多くの作家が、絵手紙のようにわたしの心へなにかを届けてくれていたように思います。
目的を持たずに書店の中をめぐると、わくわくします。
まるで、さまざまなレイヤーを行き来する世界旅行をしているような気持ちになります。
ここでいう世界とは、リアルの様々な国という意味をずっと越えていて、
「思考法の世界」「勉強の世界」「趣味の世界」などなど・・・
それぞれの世界のもとに多彩なサブジャンルが広がっていて、
人が興味を持って掘り下げることの多種多様さに圧倒されます。
どの棚を見ても、ちょっと気になるものが見つかるのってすごいと思いませんか?
ひとは自分がいる世界の中のものしか見えません。
でも、書店に行くだけで、いやおうなく沢山の世界観を目にすることができます。
それは小さな画面越しに見える情報のかけらを超えて、
思いがけない方向から飛んできた大きな衛星のように、わたしたちの好奇心を呼び覚まします。
わたしたちに何かを届けようと誰かが全力でつくった、
それが本です。
1冊が仕上がるまでに、さまざまな人が中身をチェックし、読みやすさを考え、
手に取ってしっくり来るかを考えられてかたちになり、そこに在ります。
夜空を眺めるとき、星ひとつひとつの光年や燃えている仕組みなどは(普通)考えないものですが、
書店の棚を眺めているときの感覚もそれに近いかもしれません。
宇宙と比べたら人間の営みはとても小さいはずなのに、
人間全体の知の営みは宇宙に匹敵するのではないかと、
書店の入口をくぐるときに思うのです。
今週のお題「本屋さん」