ママちゃんは最強漬け。

発達障害の子どもを育てる中で、生活の工夫や役立つ本を検証・記録してきたブログです。 現在は、桃川あいことして、ケアや発達についての発信をnoteで行っています。

『「遺伝が9割」そして、親にできること』 ー 親子それぞれの気質を観察しよう

海外の著者の本ってどうしてこんなに分厚いの?二児の母です。

今回はこちらの本のレビューを書きます。


THE CHILD CODE 「遺伝が9割」そして、親にできること わが子の「特性」を見抜いて、伸ばす (単行本) [ ダニエル・ディック ]

今回の記事のもくじ:

子育てが難しいのは、お互いの気質を理解していないからかも

「子どもには、持ってうまれた性格がある」という感想は、だいたいの保護者が感じ取っていることではないでしょうか。

この本ではそういうものを「気質」と呼んで解説しています。

 

子どもの育て方に行き詰っている人は、もしかしたら子どもの気質を変えようと必死になっているのかもしれません。

また、もしかしたら自分の気質が、行き詰まっている原因の一部かもしれません。

この本は、親と子ども、それぞれの気質について考えを深める手助けになる一冊です。

 

この本を3行でまとめると

この本は、ざっくり言うとこんなことを説明しています。

 

「子どもは生まれながらの性格や行動のしかたを持っている。

保護者がそれをコントロールするのは難しい。

けれど、子どもの生まれ持った気質をよく観察して、それぞれに合う接し方を選んで子どもを導いていくことはできる。」

 

この本では、遺伝学と心理学をもとに、人の気質をどのように分類できるかを簡単なチェックシートつきで解説しています。

保護者と子どもそれぞれの気質タイプを手がかりとして、子どもの特徴や、保護者が子どもへできることについて詳しく説明がなされています。

また、心理面や発達に課題のある子どもたちについても触れています。

 

生まれながらの気質から、何が言えるのか

気質とは、生まれながらに持っている行動の特徴のことで、遺伝子の影響によるものだと解説されています。

  • 遺伝子でほとんどの気質は決まっている。なので保護者が子どもをコントロールすることには限界があり、育て方のせいとは言えない。
  • 子どもの気質によって、合う環境と合わない環境がある。

子どもが持つ生まれながらの特徴を無視して、通りいっぺんの子育て方法やアドバイスをうのみにしていてもうまくいかないですよ、という指摘には確かにそうだなと思いました。

発達障害の子どもの研究を勝手にやってきた身としては、子どもそれぞれ育ちかたにバリエーションがあるのを見てきており、子どもに合った工夫がいることを身に染みて感じています。

遺伝学でもそこにたどり着くのか、と裏付けされた感があります。

 

人の気質や親の育て方は、こんな風に分類できる

遺伝子をもとにすると、人は「外向性」「情動性」「自制心」という3つの特性を持っています。それぞれに強い・弱いや「中間型」があり、その人の個性をつくっています。

このことは親にも子どもにも当てはまります。親と子が同じタイプではないこともよくあります。

人の気質をこの3つの特性の強さ・弱さをもとに分類していて、タイプの違う親と子の相性や、全体を通して言えることについてだいぶ細やかに解説されていました。

 

また、心理学の立場から、子育てスタイルを4つに分類しています。

温かさと統制をあわせ持つ「権威型」が望ましいことを挙げながら、子育ての方針が周りの人と違うときにどう話し合いを進めていくかについても触れられています。

 

タイプ分けをしてお互いの相性を判断するのは、血液型などをはじめとする占い本でもよくあります。

そういう本だと、見たいタイプと関係ないページは飛ばして読むものですが、人の気質はそうスパッと分類できるものでもないように思いました。

つまり、「この部分はうちの子どもに合うかもしれない」「ここは自分にも当てはまるかもしれない」というところがあちこちにあるのです・・・

結果として、この本ではどの章も参考になる感がありました。

 

子どもを客観的に認めながら育てたい

わたしの子どもたちも、性格や行動のしかたが全然違います。

特に一人目の子が小さいうちは集団活動に対して反抗的で、どう育てたらいいかとても悩んでいたことを思い出しました。

あの頃は「周囲に合わせるということを教えなければ!」という考えに強くとらわれていたように思います。

 

今振り返るに、「この子には生まれ持った気質がある」ということをしっかりと腑落ちした上で、どのように接していけばいいのかを考えていったらよかったなと思います。

 

この本では、「気質」を切り口として、親や周囲の人たちの行動についても様々な指摘があります。例えば、母親と父親とでは、その子どもに対してうまくいく接し方が違うということも「気質」の違いから来ています。

 

「孤独な子育てを防ごう」というスローガンをよく耳にします。さまざまな人、つまりさまざまな気質をもった人に子どもを見てもらって様子を聞くことは、子どもをさまざまな角度から眺めて全体像を考え直す手がかりになると言えそうです。

 

現代科学の出した結論として、結局のところ子どもは遺伝子情報からできているから、親はもっと肩の力を抜いて、子どもが持つ可能性を信じたらいい。というテーマで、この本は締めくくられています。

 

親のことも、親の周りの人のことも、子どものことも、

「気質」という視点で見直すことで、感情が入りすぎずにお互いを認め合う気持ちが見えてくるように思いました。

 

今回の本が気になったら、こちらからどうぞ。

 


THE CHILD CODE 「遺伝が9割」そして、親にできること わが子の「特性」を見抜いて、伸ばす (単行本) [ ダニエル・ディック ]

 

泳ぐなら、ネットより書店だよ。


本は、わたしの最初の友達でした。

当時の住まいが田舎で娯楽が少なかったこともありますが、

小さなショッピングモールで親がおつかいをしている間に本屋で待つのは、大好きな時間のひとつでした。

 

絵本を読みまくるのは大人になってからも続いていますが、

多くの作家が、絵手紙のようにわたしの心へなにかを届けてくれていたように思います。

 

目的を持たずに書店の中をめぐると、わくわくします。

まるで、さまざまなレイヤーを行き来する世界旅行をしているような気持ちになります。

 

ここでいう世界とは、リアルの様々な国という意味をずっと越えていて、

「思考法の世界」「勉強の世界」「趣味の世界」などなど・・・

 

それぞれの世界のもとに多彩なサブジャンルが広がっていて、

人が興味を持って掘り下げることの多種多様さに圧倒されます。

 

どの棚を見ても、ちょっと気になるものが見つかるのってすごいと思いませんか?

 

ひとは自分がいる世界の中のものしか見えません。

でも、書店に行くだけで、いやおうなく沢山の世界観を目にすることができます。

 

それは小さな画面越しに見える情報のかけらを超えて、

思いがけない方向から飛んできた大きな衛星のように、わたしたちの好奇心を呼び覚まします。

 

わたしたちに何かを届けようと誰かが全力でつくった、

それが本です。

1冊が仕上がるまでに、さまざまな人が中身をチェックし、読みやすさを考え、

手に取ってしっくり来るかを考えられてかたちになり、そこに在ります。

 

夜空を眺めるとき、星ひとつひとつの光年や燃えている仕組みなどは(普通)考えないものですが、

書店の棚を眺めているときの感覚もそれに近いかもしれません。

 

宇宙と比べたら人間の営みはとても小さいはずなのに、

人間全体の知の営みは宇宙に匹敵するのではないかと、

書店の入口をくぐるときに思うのです。

 

今週のお題「本屋さん」

HSPぽいと分かった母が発達障害児の子育てを振り返りながら関連本読んでみた

発達障害不登校の子どもたちを育てて20年の母です。

ちょっとしたきっかけで「繊細さん(HSP)診断」をやってみたら、自分がだいぶそれっぽいことが判明しました。

そこで、友人が紹介してくれたHSP関連書を、当事者感覚を持ちつつ読んでみました。

母親として色々きっちりやってきた方だと思っていましたが、わたしにも苦手なことって色々あったよな。。と振り返るきっかけになりました。

発達障害児を育てた経験をもとに感じたことや、特に気に入った関連本の紹介を書いておきます。

HSPとは

Highly Sensitive Person 、特別に敏感な人。「繊細さん」という本が売れて世の中にけっこう知られたのではないでしょうか。

ちなみにHSC(H.S. Child) は、そういう子どものことです。

1996年にアメリカのアーロン博士が提唱した学説に由来しています。

5人に1人の割合でいるらしい。。人によって傾向が強め弱めといった差はあると思いますが、結構多いですね。

 

発達障害児の子育て経験から思うこと

  • 突出した繊細さを生まれつき持っているのが、HSP
  • 感覚のさまざまな偏りを生まれつき持っているのが、発達障害

 

HSPイコール発達障害」ではない!という定義づけがあるけど、

両方を併せ持っている子もいるし、特徴の持ち方にもバリエーションがあったり、複雑だなぁと思います。

彼らは別物というよりも近い境界のところにいて、それぞれのことを知っておくと理解が深まるなと思いました。

 

そして、少し遠めから両者を眺めると、「生まれつきの特性が突出している子」という意味では同じなんじゃないか。。と思ったりしました。

それぞれについて、今はだいぶ特徴の解説がはっきりしているし、細かいやりようは違うんだけども、

「その人の苦手や得意を理解して環境を整えていく」といった支援の方向性については同じと言えるように思いました。

これは、発達障害などの特性(診断)があってもなくても、何かしら困り感のある子を育てるときの基本ではないでしょうか。

今回読んだHSP関連の本

著者は精神科医の枠を超えて90年代から子育ての現場へ支援を続け、講演会や本などの形でも言葉を送り続けています。

「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(累計500万部)はわたしも20年近く前にお世話になりました。今でも書店で見かけるロングセラーぶりには驚異しかありません。

この本では、講演会で明橋先生が親御さんの悩みに答えた内容をベースに、話し言葉のままやわらかく分かりやすく載せているところがポイント高いです。

「お医者さんからこういう風に話して欲しかったんだよ!

説明というより、こういう風にこちらの気持ちを汲んだ言葉でさあ!」

って感じでした。

読みやすくても内容が薄いとは感じず、「親の関わり方は、原因じゃなくて結果」など名言が色々ありました。

 

 

発達障害HSP双方に詳しい医師による、HSPの総合的な解説がわかりやすくまとめたられた一冊です。

HSPに絡めて発達障害やその奥にある性質についての解説もあり、脳のしくみから子どもの状況にまつわるQ&A、社会の中でいかに尊重していくかといった幅広い見解が含まれていました。

全体を通して使われているHSPとは、感情に反応する心の音叉をたくさん持っている人」というイメージは、読み手にもHSPの感性が伝わる感じでいいなと思いました。

 

 

HSP専門カウンセラーが、社会に出て働いているHSPに向けて

  • 日々をラクにやり過ごす
  • ふだんの物理的ストレスを減らす
  • 人間関係的なストレスを減らす
  • 仕事で脳を使い過ぎて疲れないようにする
  • 自分の特性を活かす

を目的に具体的な工夫や心のもちかたを指南する、読みやすい本です。

生活や仕事の中ですぐ取り入れられそうな事柄が並んでいるのがポイント高いと思いました。

2024年現在Amazonで検索したら、「60万部突破!一番売れているHSPの本」と帯に書いてありました。細かいことが気になりすぎてストレスになっている社会人がそれだけ多かった、という事実を感じます。

これらの本は2020年より少し前の話題書なので、今後新しい本が出たらまたチェックしようと思います。

『発達障害サバイバルガイド』 ー 誰でも使える、暮らしのハードルをとにかく下げる術

発達障害の子を育てて20年の母です。

今日は、発達障害ADHD)当事者による、生活の工夫大全・決定版!!! と呼ぶべき本を紹介します。

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こちらは、著者 (ADHD / ASD) が、不器用である自身の実感をベースに

「こうやったら便利になったよ」と生活の工夫を具体的に解説している、ためになって妙におもしろい一冊です。

自分を変えるのではなくやりかた・道具・環境を変えてどうにかやっていくのだという本書の発想は、発達障害の人を支援する考え方の大前提であると思います。

 

この記事のもくじ

 

悲惨なのに何故かおもしろい

大人が指導をするテイで、発達の問題を抱えている人のために生活の工夫をまとめた本は、けっこうあります。イラストが多用されていてわかりやすく作られていますが、当然、おもしろい感はないです。

 

本書では、著者の自虐的な語り口に加えて、自身がどーもくんの口をしたゆるいくま(イラスト)として描かれているのが絶妙です。

たまにウォーと過集中になったり病んだり大泣きしていたり、本人からしたらひじょうに大変であろう状況を、読み手はコミカルにも受け取れるような振り幅があります。

うつの人に対して真摯なメッセージを含ませながらも、エンタメを楽しむ感覚もほんのり持ちながら、そして「これ役に立つじゃん」が満載なうちに読み切れる一冊です。

 

生活に必要なシーンをほぼ網羅している


生きるためには仕事を続けていくことが必須で、その土台は健康でいられる生活を回していくことです。

人が生活をするときの必須ポイントとして、

  • お金の使いかた・消費額チェックのしかた・貯めかた
  • 汚れものをためない習慣・環境作り
  • 休息をきちんととること
  • 在宅ワークをちゃんとやりとげられる環境作り
  • 社会人としての服選び
  • 自炊をこなす(味付けなど)

この辺りのやりかたを全部網羅しているところが秀逸です。

また、わたしは普通の親として生活を無事に回してきたつもりでしたが、考えが足りていなくて非効率なことをやってきたなと反省する箇所や、ためになるから真似しようと思った箇所がありました。

著者には、人よりもつまづきが多いからこそ、暮らしを面倒にしている小さなハードルに気が付くことができるというグッドポイントを感じました。

 

実は本書、最新のAmazonサイトで見ると帯に「10万部突破」と書いてあり、聞いたところによるとそうそう出現するもんではない発行部数のようです。ひじょうに多くの人が参考にしている状況がうかがえます。

ダメになっていった&改善していった人だから言えること

この本では第一に、お金の使い方として「ある程度の設備投資をしろ」と提言がなされます。そこひとつとっても、

  • 生活を快適に回すために必要なことは何か
  • それがないと、どう生活がダメになってしまうのか

など、長年のトライ&エラー&どうにかうまくいった経験をベースに、段階の話もていねいに交えながら、様々な角度から説明されているので、説得力があります。

 

わたしは特に、「これができないとこうなる→洗濯物がたまる」といった、汚部屋が仕上がっていく段階をくっきりトレースできるのが、興奮するほどポイント高いなと思いました。乱暴な言い方になりますが、夏ですし、くさいひと全員に読んでほしいです。

子育てしてる側から見た、この本で役立ちそうなシーン

本書は「不器用さが強い社会人が、ひとりで生活を回していくには」というテーマで書かれています。ですが、以下のようなシーンにも参考になる点が多いと感じました。

  • 発達特性があってもなくても、片付けや集中が苦手な子どもの部屋づくり
  • 上記のような子どもの、おうち以外での学習環境づくり(学校や放課後デイサービスなど)
  • 保護者自身の、とっちらかった室内環境の手直し

親が元気なうちに、子どものやるべきことを全部やってあげることは、手軽ではあります。が長い目で見たときに解決策にはなっていないな。。と、わが身を振り返っても思うところです。

 

いつか、(よほどの事情がない限り)子どもが自分で生活を回していくときは来ます。

そのために、

  • 本書が提唱する「超意識低い系」つまり誰でもすぐに真似ができるちょっとしたこと、を知っておくこと
  • 早めに当事者と共有しながら環境を作っていくこと

は、子どもの将来的リスクを回避できる大事なやりかたであるように思います。

おまけ(著者の仕事術の本)

著者である借金玉さんは先に下記の「会社員としてやっていく術」の本を出していて、そちらも話題になりました。

会社の人たちを部族と見なし、(人付き合いのやりようが分からなくても)ほどよい距離をもって付き合っていく考え方・やりかたが分かりやすく提案されています。

当時から一貫している、あまたの泣く夜を超えて前を向く「やっていきましょう」という言葉がとても良いなと思っています。

最近発達障害関連の本を読んでいて、当事者からのお話がじつに具体性があって貴重だと思うようになりました。また新しいお話が聞けることを期待しております。

『ディスレクシアだから大丈夫!視点を変えると見えてくる特異性と才能』ー ディスレクシア脳のエピソード満載

発達障害の子を育てて20年の母です。

今日は、ディスレクシアの人の脳のはたらきについて丁寧にまとめられた本を紹介します。

 

 


ディスレクシア(識字障害、LD)とは、ざっくり言うと、文字や数字のかたちを理解できなかったり覚えづらかったりする特性を指して言われることが多いです。

ですがこの本を読んで、そういった特性はディスレクシアのひとの「一部のできないこと」でしかないし、そこばかりに焦点が当たっている状況が多いのだと分かりました。

わたしは身近にこういう特性をもった人がいないこともあって初めて知ることが多く、ディスレクシアの人(脳)だからすごくできることがあるという話は驚きました。

 

この本の著者と立場、メリットについて

ちょっとお高いですが、情報量が多い本です。
著者夫妻はディスレクシア専門のクリニックをひらいている医師であり、夫さんのほうは脳科学者でもあります。脳科学の観点から、ディスレクシア脳の特徴がガチで詳しく解説されています

さまざまな子どもやその家族への聞き取りから、「実は親が、祖父が、同じような特性があり、このような素晴らしい才能を活かしてプロフェッショナルの道を歩んだ」といった、家族をひっくるめた具体的なエピソードがたくさん出てくるのが、この本のすぐれた点であると思います。

 

そういったプライベートでもらいかたが難しい話こそ、実際に子どものディスレクシアについて悩んでいるご家族にとっては聞きたいところなのではないかと思います。

来院者たちが家族の話を細かに打ち明けることができたのは、著者夫妻がディスレクシアの方々を診てきた態度によるところが大きいように感じました。

一貫してディスレクシアの方々に対してあたたかくポジティブで、希望をもって先へ進んでほしいというメッセージを感じられる一冊です。

 

最終章では、ディスレクシアの人たちが読みと書きを克服していく方法が概論的にまとめられています。具体的にどうトレーニング内容として落とし込んでいくのかは、専門家でないと難しいように感じました。

具体的ですぐ実践できそうなトレーニング方法については、ほかの本をあたってみることをおすすめします

 

できないというか、脳の仕組みが違うんだ

本書ではまず、脳や記憶の仕組みについて丁寧な解説がなされています。

その上で、ディスレクシア脳は一般的な脳と、構造や機能がちょっと違うんだという話が展開されています。

「一般とは違う方法で、違うことができるようにつくられた脳である」

という解説にわたしは衝撃を受けました。

言われてみれば、どうしてわたしたちは、同じ学習方法を子どもたち全員がやるべきだと思い込んできたのでしょう??

 

レーニングで読み書きが上達した事例も紹介されていますが、それは「彼らなりのやりかたで出来るようになった」という事だそうです。

持っている脳のしくみを変えようと頑張ってもそこには限界があるし、変えなくていいし、変えられないことなのだろうなとわたしは思いました。

 

ディスレクシアの脳が得意とすること

この本では、ディスレクシアの脳には下記の秀でた能力があることがまとめられています。

  • 空間のイメージを立体的につかんで「こうなんじゃないか?」と推論する能力(空間把握能力)
  • 異なるものごとや学問などのつながりを関係づけて考察する能力(相互関係性把握能力)
  • ストーリーを仕立てる能力(物語理解能力)
  • 直感で予測や結論を見い出す能力(シミュレーション能力)

おおまかに言うと、ものごとや情報を上のほうから、全体像を眺めるように観察して理解する能力が高い。それゆえ、いくつかのものごと(情報・学問など)のつながりを見つけていく力にも秀でているということのようです。

右脳的直感で結論はすぐゲットできるんだけど、その説明ができるようになるまでには時間がかかるし、洞察中はボーっとしてるように見えるという特徴もあるようです。

それぞれの人が特殊なイメージのしかた、情報のまとめかたを持っていて、そこに文字情報はあまり要らないんですね。。

(本書では、この能力を活かして成功した作家や起業家の例が、彼らの特性やストーリーをきちんと説明するテイで書かれています)

 

その能力の代償として、細かいものを区別するのが苦手っていう。。

 

わたしたちがディスレクシアと言うとき、この苦手なところしか見ていないことが多いように思います。

 

たしかに、子どもが文字や数字を読めない!書けない!という壁に当たったとき、わたしたちはショックを受けますし、知能の遅れを疑いやすいものです。

これまでに発達障害の記事を書いていて何度も戻ってくる話になりますが、ここでも、子どもをよく観察することが大切だと思いました。

 

例えば、本を読めなくても本を読んでもらうことが大好きな子は、知能が遅れていると言い切ってしまっていいものでしょうか?

本の内容に理解と興味を示している、という事実があればそこにも注目して判断するものだと思われます。

 

「子どもが読み書きができない、どうしよう」と親がしんどくなるのは、

子どもたちが早々に読み書きの訓練から入る場所(学校)におさまらざるを得ない、

多くの同年代の子たちと比較されやすい、

という環境側の問題ではないかとわたしは考えています。

(実際に、本書で紹介されているエピソードの人物たちは、学校での文字中心学習のしんどさが終わった辺りから、能力をおおいに活用し始めています)

 

現在は、国連や日本の障害者差別解消法のもとに、学びの場では人それぞれの特性に合うようにやりかたを工夫する「合理的配慮」をするように提唱されています。

 

子どもの特性に気付いたら、子どもを見てくれている人たちと協力して

  • その子がどこまでならできるのか、を観察する
  • その子ができるやりかた を見つける
  • その子が実は得意なこと、好きなこと を見つける

をコツコツやっていくに尽きるんじゃないかと、今回のディスレクシアのお話でも感じました。

 

『ありがとう、フォルカーせんせい』ー LD児のつらさと支援を描く

発達障害の子を育てて20年の母です。

きょうは、SLD(のうちディスレクシア、識字障害)の子を主人公にした有名な絵本を紹介します。

 

 

主人公の子は、

・本を読んでもらうことは大好き(学習能力はある)

・絵が上手という才能がある

・本や黒板の文字や数字がぐちゃぐちゃに見えて読めない

といった特性があります。

学校でのつらさ、そこに気付いてくれた先生からのあたたかい支援によって、文字を読む力とそのよろこびを取り戻すまでが描かれています。

 

初版は2001年とけっこう前なのですが、これまでに様々な雑誌で紹介されているのも見てきましたし、2020年代には学校教科書に掲載されたとのことで、長らく愛されている絵本であることがうかがえます。

 

岩崎書店からの出版。こちらの出版社が早い時期から発達障害児のはなしに注目しており、絵本という入りやすいところから啓蒙をかって出られたように見受けております。

 

『ありがとう、フォルカー先生』は、まだ語られることが少なかった子どもの学習障害に注目して刊行した絵本。その後も学習障害発達障害理解のための本を次々と出版、「怠けてなんかない!」はロングセラー・シリーズに。

岩崎書店90年のあゆみ より)

 

さて、おしゃれですてきなフォルカー先生は、(先生についての描写がほとんどないものの)子どもをひいきすることなく、ひとりひとりのいいところをよく見てほめてくれる先生のようです。

どういう育ちや経験があって、そのような先生になったのでしょう。。そこをちょっと聞いてみたくなりました。

 

わたしは大きな公立小学校と長らくご縁があり、さまざまなクラスにボランティアに入っています。今の先生がたが時間に追われながら様々なタスクをこなしている状況を、自分なりに感じ取っています。

こういうカリキュラムは上からおりてくるのでしょうけど、先生がたが、子どもたち全員と充分なコミュニケーションをとったり、何かを子どもたちのペースでやらせてあげる余裕は、果たしてあるのか。。

部外者ながら、指導陣の方々が心身的にゆとりを持てる環境のほうが、子どもたちにも良いことがあるんじゃないかと感じています。

 

さて

発達の問題全般で言えることですが、LDをはじめ身近にそういう人がいないと、知ることすらできないものです。

本は、わたしたちの常識を広げてくれます。わたしも、SLDのことは本を通して初めて知りました。

 

この本を読んで、

子どもがうまくやれないことについて、困っている事柄をていねいに聞き取らずに即「さぼってるから」「頭が悪いから」と判断してこなかったか?と振り返るきっかけにもなりました。これは、発達障害のあるなしに関係ないことかもしれません。

 

本人は「やりたいのに、どうしても出来ない」と苦しんでいる場合があります。

子どもの困り感に対して勝手にいらだつのではなく、まずは「そうなんだね」と受け止めて話を聞いてあげられる人になりたいです。

「できないこと」について、どう付き合ったり寄り添っていけばいいのか、穏やかな気持ちで一緒に考えていけたらいいなと改めて思いました。

『マンガでわかる発達障害グレーゾーン』ー 当てはまりそうなものを知っておこう

二児の母です。

わからないことだらけだった発達障害児の子育てから20年ほどになりますが、

最近は発達障害関連の本がいろいろ出ていてうれしく思っています。

きょうは、マンガ形式で読みやすかった一冊を紹介します。

 

 

この本では、「発達障害グレーゾーン」という言葉の中にはさまざまなタイプの人たちが含まれていて、それぞれどのような特徴があるのかを説明しています。

 

「この人(子ども・大人)、行動が独特すぎるところがある。生活の中で困り感がある」

と感じることがあったら、その人の特徴にあうタイプを考えてみるのに、この本は入門的で良いと思います。

診断するかどうかは次でいいので、まずは知っておく、というのもその人を理解するにあたって大切なステップであると思います。

 

発達障害の正確な診断をするにあたっては、もちろん本や自分のアタマだけで済ませるのではなく、専門機関(発達障害に詳しい医院、地域の療育センターなど)に相談して一緒に考えてもらうのがおすすめです。

 

わたしはわが子のことを話す機会が多いので、「うちの子どうなんでしょうか」というご相談をきくこともあるし、大人の知人から「自分って発達障害かも」と相談されることもあります。

そこで感じるのは、診断名をどうしてもつけたがる人がけっこういるんだなぁ~ということです。

 

診断名は、その人を理解する手掛かりになるものです。

ふだんの暮らしに困り感があって、配慮を学校や職場に頼まないといけないだろうという場合、診断名があることで周囲も(制度的にも)手助けがしやすくなります。

 

昨今よくわかってきたこととして、グレーゾーンといって「〇〇タイプ寄りだけど、できる・できないことの偏りがゆるやかめ」「色々なタイプがからみあっている」人たちがいて、彼らもそれぞれに困り感があるということ。


こうなってくると、診断名をつけることにこだわって手間を重ねるというよりは

  • なにが得意で、なにが苦手か
  • どういう方法だったらできるようになるか

をていねいに観察して日々対応していくことに、やっぱり返るんじゃないかなと思っています。以下、本の末尾でくまの先生が話していることばを抜粋しておきます。

大事なのは

障害か障害でないかを

区別することではなく

 

その人の強みと弱い点を

きちんと理解し

 

適切なサポート支援や

レーニングにつなげていくことです

 

おまけ

ちなみに、すごく似たタイトルの本があります。

下記は、自閉症スペクトラムの子の話に特化して「困ったあるある」ケースを複数紹介し、その対応策を紹介しているスタイルです。

これはこれで需要があると思いますので、おまけに紹介しておきます。

 

お題「この前読んだ本」